大館・北秋田芸術祭2014「里に犬、山に熊。」【北秋田市編】

前回の大館市編に続いて、芸術祭のご報告、北秋田市編です。

2012年よりゼロダテは北秋田市に初めて活動の拠点を広げて3年目、今回は鷹ノ巣駅前、商店街、さらには桂瀬、阿仁合、根子地域で様々な展示やイベントが行われました。

【魚座造船所前夜祭
魚座造船所の完成を記念して、これまでの取り組みと、今後どのような活用をしていくかについて、アーティストの日比野克彦さんと地元自治会等と意見交換をしながら交流会を開催しました。日比野さんから作品制作にこめた思いについて、また、地元自治会長から、制作を経ての感想等の発表を行いました。ボランティアで参加してくれた市民も駆けつけてくれて、アートを活用した地域の盛り上がりを感じ、芸術祭前夜にふさわしい日となりました。(10/3開催)
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日比野さんと地元の方々で交流した

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ライトアップされた船

さて、いよいよ迎えた芸術祭初日、10月4日に阿仁合の河川公園にてオープニングセレモニーを行いました。
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アーティストの遠藤一郎さんの未来へ号も会場に駆けつけてくれました。

本来であれば、パトリシアさんの気球作品が上がる中でのセレモニーの予定だったのですが、天候や会場のコンディションにより急きょ会場変更となってしまいました。

それでも北秋田市関係者のかたはじめアーティストさんが集合しこれからはじまる芸術祭ののろしをあげました。

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【石塚隆則】 会場:community station KITAKITA

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街の入り口、JR鷹ノ巣駅前にあるキタキタに大きなクマが出現しました。
期間中夜間も照明をつけ外から見れるようにしていたため、駅前を利用する多くの方がこのインパクトのある「熊」を目にし、写真で撮影する人も多くいました。石塚さんはこれは「熊」ではなくあくまでも「けもの」とのことでしたが、芸術祭のタイトルにもある「山に熊。」の始まりにふさわしい展示となりました。

【遠藤一郎】 会場:河哲商店
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壁面いっぱいに展示された人文字作品「んだ!」

大館で行われた「大家族」の人文字プロジェクトに続いて、2011年に4校統合で北秋田市唯一の高等学校となった北鷹高校は全校生徒役740名によって「んだっ!!」の人文字を作り、未来へ向けてのメッセージを作り上げました。
4回目ともなると机を使って雪の結晶を形取ったりと随所に様々なアイデアが現れ見事な人文字が完成。駅から降りるとすぐに現れる作品のパワーが街を彩っていました。

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遠藤さんは人文字の他、遠藤一郎アワー「ときめき純☆情ハイスクール」と題して、USTREAM配信するトークイベントも数回に渡って行いました。
番組参加者は地元高校生、地元市民の方々、芸術祭に来られた方々、アーティストの都築響一さん、佐藤直樹さん、栗原良彰さん、瀬川辰馬さん、中村政人さんと実に多くのかたが遠藤さんとの時間を楽しみながら全国にむけ配信をしました。

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都築さん(手前左)と遠藤さん(中央)のトーク配信の様子


【都築響一】 会場:河哲商店

都築さんの提唱する「おかんアート」は特定の町や地域に特化したものではなく、それは自然発生的に広がったお母さんたちのものづくり精神が結晶したものです。軍手の指人形、手の込んだパッチワークの魚など、家中にあふれています。とはいえ作り手には個々人の思い入れや、制作に至ったプロセスがあり、そうした物語も含め、編集者・都築響一さんは取材を重ね、おかんによる作品を現代美術にも劣らないアートとして紹介しました。ものづくりは特別じゃない。そんな切り口がおかんを引きつけ、彼女たちが芸術祭会場を訪れるきっかけとなりました。数々の愛らしい作品は人気で会場を訪れる人を楽しませていました。

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展示会場 大きな写真でおかんアートが展示された

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おかんアート作品の展示 そのひとつひとつがこだわりに溢れている


【池田晶紀】 会場:河哲商店/内陸縦貫鉄道各駅(19駅)
アーティスト池田さんの作品「内陸線に花を咲かせる人たち」は、山里の無人駅の手入れや雪かきなど、観光目線ではなく生活に欠かせない物として内陸線に寄り添う人々の姿を記録したプロジェクトでした。19駅にはそれぞれの地域の人たちの写真を、そして鷹巣駅前の河哲商店には19駅分の駅を守り続ける人々の姿をまとめて紹介しました。
また今回の展示ではポートレート・シリーズ『休日の写真館』の最後の写真を河哲商店で撮影し、展示しました。

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河哲商店会場の様子 床には木のチップが敷き詰められた


秋田内陸縦貫鉄道29駅のうち北秋田市にある19駅で撮影した写真は各駅を通過するときにその駅に降りなくても見える位置にあり、会期中多くの乗車客が見ることが出来きました。その写真を一同に見れる河哲商店では実際にモデルとして参加した方が家族や親戚やお友達を連れて見に来られていました。笑顔で写る「内陸線に花を咲かせる人たち」は日頃なかなか注目されなませんでしたが、今回の展示で多くの方がその存在に感謝の言葉をかけていました。

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内陸線の駅での展示

【瀬川辰馬】 会場:河哲商店

市民の方々から集めた壊れてしまった思い出の品を釉薬の着色剤として利用し、器として再生するプロジェクト「陶葬」。その器と、提供していただいた方へのインタビュー映像作品の展示を行いました。展示終了後に器は、思い出の品を提供していただいた方へお返します。記憶を宿した器は、一色ではない色味で丸くころんとしていて少し重みがあり、記憶とはこんな形をしているのかと思わせてくれる作品でした。

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展示会場の様子


〈イベント〉
【牛カフェ】 会場:河哲商店
北秋田市の牧場・北杜ポランファームの畠山伸吾さんによる、2日間限りのカフェ。
鷹ノ巣駅前の展示会場、河哲商店に「牛カフェ」をオープンさせた。地元の牧場への関心を向けて欲しいという想いから実施し、畠山さんの公開実習では、1日目はパニーニ、2日目はティラミスを作り振る舞いました。
駅前ということもあって、主婦層も多く、2日間限定としたが、13日から会期終了まで、あたたかいお茶を出して来場者に振る舞いました。夕方に高校生が集まってくるようになり、今後の河哲商店のひとつの活用方法として提案できたのではないかと思います。

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公開実習の様子

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美味しいティラミスが振る舞われました

【xCange】 会場:旧オータニ洋品店
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会場店舗


「お金をかけない、循環型経済でファッションを楽しむ」をテーマに、洋服、雑貨、おもちゃや絵本など、持ち主の想いの詰まったアイテムを交換という手段で流通させるのが「xChange(エクスチェンジ)」です。モノの価値だけじゃない、モノのもつ思い出や由来とともに、服や絵本は次の持ち主へと譲られていきます。
北秋田市に住む子育て世代の女性スタッフにより、会期中毎日行われ、フリーマーケットとは違う「交換」というシステムに、多くの市民が会場を訪れて楽しんでいました。交換時に持ち込んだアイテムにまつわるエピソードで交流が生まれ、リピーターも多く来場した会場となりました。

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店内の様子 その品数に多くのリピーターを生んだ

【日比野克彦】 会場:旧浦田小学校
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浦田小学校入口

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完成した船


「船を作ることによって会話ができ、集まる場が生まれ、一つの共通の目的が生まれることが造船所を作る目的の一つ」日比野さんがそう語る「造船所プロジェクト」の徳島県上勝町に次ぐ第2弾。地元の人々と共同でその土地の木を使った船を制作され、これまでそこになかった「集い」を生み出す場となりました。制作の発表された3月にちなんだ星座名から「魚座造船所」と名付けられたこの造船所は、森の中の新たな集いの場として帆を上げました。

日比野さんと浦田自治会と協力会社、そしてサポーターのチームワークによって生まれた、浦田の魚座造船所。サポーターは浦田小学校に住み込み、いただいた米や野菜で力をつけては、地元の方々と一緒に制作に励み、近くの温泉で汗を流す。地元の祭りにも参加し、日比野さんが浦田を訪れた際には制作を共にし杯を交わしたり。そんな数ヶ月を経て完成した魚座造船所は「集い」を生みました。会期中も子供から高齢者まで幅広い客層が足を運び芸術祭の大きな話題となりました。

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日比野さんと制作スタッフのみなさん

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船の甲板にはブランコで遊べる仕掛け

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学校教室では造船所ができるまでの写真記録や日比野さん直筆の設計図も展示

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来場者の方々が描いた魚座造船所

〈トーク〉
第1部では、日比野克彦氏から魚座造船所の今後の活用と、冬に向けた取り組み等の説明が行われました。その後、徳島県上勝町の射手座造船所の関係者と魚座造船所の関係者をネット中継でつなぎ、造船所同士の交流を図り、活用方法や維持管理などについての意見交換が行われました。
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会場の様子


日比野さんの質問に、それぞれの造船所の会長が答えるという進め方で実施。浦田の自治会長と上勝町の会長との対談では、お互いが「会いにいきます」という話をして、新たな交流が生まれる可能性が示されました。造船所トーク終了後は、浦田自治会と日比野克彦氏、制作協力していただいた株式会社ムラヤマ、ボランティアスタッフ等との懇親会を開催し、楽しい芸術祭の最終日を飾ることができました。(11/3 開催)

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秋田と徳島をネット中継でつなぎ交流した

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【アサノコウタ】 会場:浦田小学校
愛犬と共に楽しめる「犬の街」。愛犬や小さな子供連れの来場者が多く見られました。芸術祭の広報室長秋田犬「のの」の影響か、浦田小学校でのイベント時にはとくに秋田犬が多く集まりました。この作品はどんな場所でも展開できるよう移動ができるように制作されていましたが、飼い犬を連れて遊びにきた方の中に展示終了後には、犬の家が欲しいという方が現れ、秋田に常設となった作品もありました。

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ドッグランの様子


〈ワークショップ〉
【湊 哲一】 会場:浦田小学校

家具職人、アーティストの湊さんは地元の材料で作られた小学校で、地元の材料で作るフォトフレームのワークショップを開催しました。音楽室だった部屋には小さな机が並び、その上に作り方が1工程ずつ置かれています。移動しながら作る過程は説明書の上を歩きながら作っているようでした。木の香りや感触に丁寧に向き合いながら過ごす時間、窓越しに見える裏山の景色。山の中の小学校に通っていた子供たちの感覚を少しだけ味わえる、そんな体験ができるワークショップ会場となりました。
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会場の様子

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作業机

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木のフォトフレーム


【高橋よしひろ】 会場:旧浦田小学校
「銀牙伝説WEED」の原画展を大館会場で開催しましたが、北秋田市では代表作である「銀牙-流れ星 銀-」の複製画をはじめ、動物と人をテーマにした高橋さんの様々な漫画の複製画を約50点展示しました。

その他高橋さんの漫画を自由に読める漫画読書コーナーや、アニメシリーズも上映し子供から大人まで楽しめる空間となりました。

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数々の物語を展示


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銀牙の複製画展示


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高橋さんの漫画がたくさん並べられた本棚


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漫画を楽しむ子供たち


〈端材ワークショップ〉
体育館では地元の製材所などから協力頂いた端材のお店をワークショップとして展開しました。中には珍しい木や、まだまだ活用できる様々な種類の木材ばかりで、来場者もそれぞれの質感を手で触れながら楽しんで購入していました。

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たくさんの端材コーナー


〈その他の色々な展示〉
構内の教室では、地元作家の展示などもあり、学校全体を楽しむことができる会場でした。卒業生の方も多く来られ懐かしむ声が聞かれました。

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構内フロアの様子 開放的な空間 


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浦田地区の歴史を写した写真の展示


中には伝統工芸のひとつである桶樽の展示もあり、日によっては職人自ら制作するのを見学できる日もありました。
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見事な秋田杉桶樽

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学校にレジデンスしながら制作された作品 四季を表現するほのぼのとした作品

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子供も喜ぶ展示だった

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秋田県立大学木材高度加工研究所による作品


【村山修二郎】 秋田森のテラス
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ダリアで咲き乱れる秋田 森のテラスで、緑画を各地で展開する村山修二郎さんの展示が行われました。展示では、ダリアを使った前田小学校の3,4年生の緑画の作品、村山さんによる大きな緑画の展示の他、前田小学校の全校生徒によるアンケートが蔵で展示された他、森のテラス内のランドスケープには、村山さんが見つけた自然を巡ることができるスタンプラリーや、目をつぶってロープで池の周りを歩く体験型の作品も設置され楽しめる会場となりました。

森のテラスで育てているダリアの花と雑草などを直接手で紙に擦りつけて、地元の七角山を描いた作品は前年に福島、東京で描き足し、北秋田でさらに上書きし植物から地のつながりも表しているといいます。
植物で絵を描く手法を「緑画(りょくが)」と名付け、唯一無二の絵画手法として村山さんが形式化させたものです。
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大きな「緑画」作品の制作風景

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展示の様子


〈ワークショップ〉
庭園中にはデッキが張り巡らされており、地元小学生とはそこに画用紙を広げ緑画の制作に当たった。秋風の中でダリアが咲き乱れ、深緑の匂いを感じ、揺れる稲や山を見渡す。その中で村山さんが要所要所に配置した仕掛けにより、来場者の満足をより一層上げられるものとなりました。
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小学生による作品の展示

【鴻池朋子】 会場:北秋田市バス待合所/内陸線資料館・資料館となり倉庫/森吉神社避難小屋

2012年より秋田県立美術館の「美術館ロッジ」として始まったプロジェクトで現在も進行中のアートです。阿仁合での活動を2年前から行い、滞在用の家も持ち、町中にファンがいます。地方でアートプロジェクトとをするとはどういうことなのか?阿仁合にいると鴻池朋子の活動を通してその問いの答えを感じられました。

今回の芸術祭では作品の設置までを記録した映像や、既存作品のアニメーションの上映も行いました。大画面で見るアニメーションの美しさに見とれ、その会場に居ると、静かで贅沢な空間を味わうことができました。

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内陸線資料館となり倉庫

〈トーク〉
「美術館ロッジ〜ものをつくる原初的暴力」

鴻池さんの秋田におけるプロジェクト「美術館ロッジ」「物語るテーブルランナー」、展覧会「東北を開く神話」、シンポジウム「精霊の学校〜見えないものと対峙する方法」、東京芸術大学阿仁合学外授業、など様々な表現のその根本になる部分を語るトークイベントを開催しました。
鴻池さんは昨年から阿仁合で活動をしていることもあり、阿仁合や秋田市からファンも多く来場されていました。何度も鴻池さんのトークイベントに参加している方々も、今回の内容はいつもよりも踏み込んだ内容だった、と満足されていました。(10/25 開催)
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トーク会場の様子

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鴻池朋子さん(写真右)/聞き手:坂本里英子さん(VOLCANOISE代表/セゾン現代美術館学芸員)

【佐藤直樹】 記:阿仁合 飛沢家
阿仁合の民家・飛沢家。誰も住まなくなったその家は、時間の流れの中でひっそりと眠っていました。生活の気配が徐々に失われていき、誰も訪れることのなかった家に佐藤直樹さんは、密やかに、けれども確かに「生えている」草木の絵画を展示しました。
東京ではじまった風景画シリーズは、行く先々で次第に景色を変え繋がっていきます。佐藤さん本人がその地に魅入られ、何日間も滞在し制作したその作品は、飛沢家と見事に共鳴し、空間全体から気配が感じられる迫力のあるものとでした。

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飛沢家外観

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家屋をリノベーションした会場に巨大な作品が制作された


〈トーク〉 会場:ゼロダテアートセンター
佐藤直樹さんの芸術祭の出品作品「そこで生えている。」の説明を制作過程の映像とともに行いました。また中村政人さんとのトークではデザイナーからアーティストになる経緯やデザインとアートの違いについてジャンルを超え、表現について大変盛り上がりました。(10/5開催)

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佐藤直樹さん トークの様子は全国へと配信された

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中村さん(写真右)との対談も行った

【鈴木理策】 会場:阿仁合 宮越家

森吉山へは3度に渡って事前リサーチ、撮影で入った鈴木理策さん。
険しい道のりを現役マタギの鈴木英雄さんと歩き、今回の作品は完成しました。会場となったのは阿仁の名家、宮越家。100年以上も前に建てられたその商家は町の中で一際目立った佇まいでした。その建物にどんな作品が展示されているのだろうと、こもせの古いガラス越しに並ぶショーケースを横目に町の人たちも興味を抱きながら来場されてました。
芸術祭のポスターでも使用させて頂いた鈴木さんの写真は、マタギをじっと見つめる熊の視点?かもしれないという独特の表現で、見る人を引きつけていました。

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宮越家 外観


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独特な雰囲気の展示会場

【KATOxVictoria】 会場:阿仁合旧森林組合社宅
彼らの2ヶ月間は毎日が賑やかでした。材料を集めに走りまわり、工事が始まれば次から次と誰かしらやってきてトンカン。夜は同じ釜の飯を食い語り合う。週末は住民を集めイベントを行ったりと本当に賑やかな日々でした。
大胆な改修の末、展開された作品は2カ年計画を予定している為まだ工事の途中。会期中来場者は材料の散らばるカフェスペースに恐る恐る入ってきましたが、落ち着いてみると実はそこからの景色は素晴らしい。町の核となる場を目指し、今後も制作は続くようです。

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会場の外観

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期間中、地元の人、アーティストなどたくさんの人が集まる場所となった

【木村泰平(拝借景)】 会場:阿仁合旧森林組合社宅

阿仁には鉱山についての書物や資料が多く残されているのですが、それだけでは分からない当時の気持ちや生活感が生々しく伝わる作品でした。作品制作には、採掘に当たっていた方、鉱山内でエレベーターボーイをしていた方、鉱山で働くお父さんを迎えに行っていた方、と多種に渡る「阿仁鉱山を偲ぶ会」の方々に協力いただきました。豪雪地帯特有の建築形状を生かした空間体験も見事で、入山禁止の山に入っていくような会場構成となっているので、一種の冒険のように会場を探し当てる楽しさ、そして何より作品の内容の素晴らしさに感動させられました。

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会場の様子

〈イベント〉
【なべっこミーティングin阿仁合】

建築家加藤比呂史さんとアーティスト木村泰平さんが、この芸術祭をきっかけに一つの阿仁合の古い家に一緒に向き合うこととなりました。二人の出会いから制作、そして二人と阿仁合とこれからについて、いろいろと語り合い、トークとと平行して秋の恒例イベント"なべっこ"も開催しました。
同じ会場での制作により生まれた新しいアイデアや、発見について2人の作家のトーク、そして急遽きりたんぽ作り体験を盛り込みました。地元住民のサポートにより、作家と参加者、そして阿仁という土地とが存分に交流を深められたイベントとなりました。(10/5 開催)

木村泰平(拝借景)/加藤比呂史(KATOxVictoria)
きりたんぽ鍋調理協力:高田食堂

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会場の様子


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トークを行う木村さん(写真左)と加藤さん(写真右)


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きりたんぽ作り体験も実施


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完成したきりたんぽ


【FM拝借景@ANIAI】
木村泰平さんの作品のテーマともなった阿仁合の鉱山。リサーチや制作に関わっていただいた阿仁合や鉱山について詳しい方々をお呼びして、木村泰平さん、KATO×Victoriaの加藤比呂史さんを交えて、拝借景のパーソナリティー佐藤悠さんが作品にまつわる鉱山の話やベースとなった阿仁合の町の歴史や今を伺っていきました。
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会場の様子


ラジオは、旧森林組合事務所の他、阿仁合駅、丸伊スーパーと阿仁合でも人が集まる場所で配信。ゲストとして参加していただいた長谷川さんからは、改めて戸嶋さんから阿仁合の歴史が聴ける貴重な時間だったというコメントをいただき、小林さんからは、制作に携わった時はよくわからなかったが作品を観て木村さんが何をしたかったがやっとわかった気がしたという制作時のお話をじっくりとお話いただきました。粘土で山を再現していた時に、自分が鉱山で働いている気分になったというお話は印象的でした。(10/18開催)

ラジオの音源は、10/31より森林組合事務所内で流しました。ネット上の、拝借景ラジオのページで視聴できます。

拝借景メンバー:木村泰平(アーティスト/拝借景)、佐藤悠(パーソナリティー)、阿部乳坊、他 
ゲスト:戸嶋喬氏(ふるさと観光案内人の会会長) 、長谷川拓郎氏(阿仁合住人)、小林勲氏(阿仁鉱山を偲ぶ会メンバー)、 加藤比呂史氏(建築家/KATOxVictoria)
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盛り上がるトーク


【根子フェス】 会場:阿仁根子トンネル

今回で2回目となるトンネルパフォーマンスイベント「根子フェス」の開催。
会場となるトンネルの近くには、DOMMUNE配信のセットが並び、その光景が、ここから世界へと配信されるパフォーマンスへの期待を一気に高めていました。キャンドルをバックにハチスノイトさんの歌声で始まった幻想的なライブは、柊アリスさんの回転舞踊へつづき、トンネル各所にスピーカーを配置し、サウンドインスタレーションを展開した真鍋大度さんへ。1アーティストがパフォーマンスを終えると、奥へ奥へと進む観客は、入り込むごとに顕著になるトンネルでの音響効果と空間の特殊性を体感しながらライブを楽しみました。真鍋さんに続き、安野太郎さんによる縦笛をコンプレッサーで制御した演奏、最後はトンネル出口に見える根子集落を背景に七尾旅人さんによるパフォーマンスで根子フェスは幕を閉じました。会場には県内外からこられた観客の他、DOMMUNEのユーストリーム生中継によってパフォーマンスの様子は世界へ届けられました。(10/4開催)

キュレーション:宇川直宏(DOMUNNE)
出演:七尾旅人(ボーカル&アコーステックギター&エレクトロニクス) / ハチスノイト(ボイス) / 柊アリス(旋回舞踊) / 真鍋大度(メディアアート) / 安野太郎(エアーコンプレッサー&縦笛)

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会場に集まる観客

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いよいよ中へ

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ハチスノイトさんの幾重にも重なっていく歌声がトンネルに響き渡る


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幻想的な衣装をまとった柊アリスさんの回転舞踊が繰り広げられた

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安野太郎さんのパフォーマンス

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初めて目にする機材から発せられる独特の音楽にひきつけられた

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トリを務めた七尾旅人さん


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DOMMUNE配信基地 根子フェスの模様はここから世界へと発信された

【平田オリザ 演劇列車「秋田内陸阿房列車」】 会場:秋田内陸縦貫鉄道車内

内田百閒の名随筆『阿房列車』を戯曲化した平田オリザ版『阿房列車』。
20年以上にわたって各地の小劇場で上演され続けてきたこの名作を、はじめて平田オリザ本人の演出で上演しました。舞台は、秋田内陸縦貫鉄道車内。
およそ2時間の実際の汽車の旅の合間に、内田百閒の茫洋とした言葉が、詩のように折り重なり、不思議な世界が現出します。車外の風景を折り込んだ新バージョンでの限定公演となりました。風景の移り変わりを取り込んだ演劇列車が、紅葉に染まる北秋田の時間をゆっくりと進みます。
内陸線を舞台(劇場)とした実施は実験的でもあり、不安もありましたが、多くの観客に来場いただくことができました。列車内の舞台という異空間によって、いつもと同じ風景と思っているものが、違ったものに見え、観客からは、好評の声をいただきました。(10/11〜10/13開催)

作・演出:平田オリザ
出演:秋山建一 たむらみずほ 森岡 望
舞台美術:袴田長武(S.A.I.)、杉山 至
音響:緒方晴英
舞台監督:海津 忠
衣装:正金 彩
演出助手:木崎由紀子
制作:有上麻衣 服部悦子

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演者と観客が同じ列車内に


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演劇の様子


【パトリシア・ピッチニーニ「Skywhale」】 会場:北秋田市立阿仁合小学校グラウンド

根子フェスとともに芸術祭のオープニングイベントとして実施されたパトリシアピッチニーニさんの「Skywhale(空飛ぶクジラ)」は、大館市編でも前述しましたが、2013年にオーストラリアの首都キャンベラ設立100周年を記念して作られた、高さ24、長さ36メートルのバルーンアート作品です。

当初予定されていたセレモニー会場での実施は、会場のコンディションなどで残念ながら実施できず、急きょ会場を変更しての実施となりました。

風の影響も大きく受ける作品ですが、地上で膨れ上がり、作品が次第に大きくなっていく様子、そしてそれが空へと浮かんでいく光景は、阿仁合の美しい山並みの風景と相まって誰も見たことがないような忘れ難い感動を呼びました。
(10/4.5開催)

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飛んだ姿に歓声が湧いた


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日が暮れてさらに幻想的な雰囲気に

【浦田の船の秋祭り】 会場:浦田小学校

廃校を活用し、グラウンドには日比野さんの魚座造船所や、アサノコウタさん制作のドッグラン、校舎内でも様々展示が行われ、体育館での音楽ライブ会場の準備には浦田自治会の方々にもご協力いただき実現した「浦田の船の秋祭り」。

当日は子供からお年寄り、そしてペット連れのお客様までたくさんの方々にお越しいただきました。地元のみんさんと一体となって開催したイベントの成功に「次はいつイベントをするのか?」と自治会の方々から声を掛けられ、今回の企画を一緒になって楽しんでくれた様子。今後も浦田自治会とのつながりを大切にしていきたいです。
午後最初のイベント、トークでは漫画界で世界的な人気を誇る高橋よしひろさんの出演ということで全国からたくさんのファンが来場しました。

トーク:高橋よしひろ(漫画家)、普津澤画乃新(漫画家)、中村政人(アーティスト)
スペシャルライブ:オムトン、おやじバンドひねむーず、柏木妙子、高鳥佑太、tako
木工体験:湊哲一、アトリエすみよし
販売:けしごむはんこsato工房、hatuhana工房、やまがえる食堂、ののや

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外のテントでは様々なショップやワークショップできるお店

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けしごむはんこ作りができるお店も

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はざいショップ

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ののや 看板娘「のの」

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トーク会場 たくさんの来場者


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高橋さんと普津澤画乃新さんという世代を越えた漫画家対談が実現


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トーク終了後には高橋さんサイン会 大人気で整理券もあっという間に終了


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体育館ではスペシャルライブがスタート 地元のおやじバンドヒネムーズ


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地元浦田地域の方も笑顔で楽しんでいた


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ギター1本で弾き語りする高鳥さん


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素晴らしい三味線と歌声 地元出身の民謡歌手 柏木妙子さん


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takoのふたり


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メインゲストの打楽器ユニット オムトンの楽しい演奏


以上が、大館・北秋田芸術祭2014「里に犬、山に熊。」の内容でした。
膨大な展示とイベント数なのでそれぞれ詳細にはお伝えしきれなかったと思いますが、少しでもその雰囲気が伝わればうれしいです。

この場をお借りしまして当芸術祭へ来場頂いたみなさま、ご支援、ご協力頂いたたくさんのみなさまに心より感謝致します。

芸術祭を通して秋田のもつ魅力、底力が全国に伝わってくれれば幸いです。

参加頂きましたアーティストのみなさま、事務局スタッフ、主催された行政の方々、本当に1ヶ月間お疲れさまでした。そしてありがとうございました。

この経験を糧に、今後も引き続き様々な試みで活動に励んでいきたいと思います。

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【概要】
大館・北秋田芸術祭2014 「里に犬、山に熊。」 

会期:10月4日(土) - 11月3日(月・祝)
会場:秋田県大館市・北秋田市

主催:
大館市
北秋田市(内陸線アート事業)
平成26年度文化庁地域発・文化芸術創造発信イニシアチブ
助成:公益財団法人福武財団
企画制作:特定非営利活動法人アートNPOゼロダテ
統括ディレクター  中村政人
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2016年11月

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